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安全検証試験
1. 安全検証試験の位置づけ
 安全検証試験では、ISO 13482に基づいて設計・開発・制作されたロボットの第三者認証の際に,ロボットの安全性が設計仕様通りであることを検証します。
 検証試験の項目や方法は、ロボットの開発者がリスクアセスメントに基づいて妥当性確認計画の中で定めます。しかし、生活支援ロボットの形状や機能は多種多様のため、個々のロボットについて開発者が全ての検証試験方法を検討するのは現実的ではありません。そこで、多くの生活支援ロボットに共通するリスクについては、標準的な試験方法があれば、安全なロボットの開発・普及を効率的に進めることができます。このためNEDOによる「生活支援ロボット実用化プロジェクト」では、ISO13482の要求にも対応できる標準的な試験方法の研究開発が行われました。
 同プロジェクトでは、試験方法の研究開発拠点として「生活支援ロボット安全検証センター」が茨城県つくば市に建設されました。現在同センターでは、将来的には試験機関として広く一般向けに試験業務を行うことをめざして、機器開発メーカからの試験依頼にも対応しています。(2015.1現在)

生活支援ロボット安全検証センターのホームページ

安全検証試験の位置づけ

2. 検証試験項目の例
 以下に主な検証試験の項目を示します。これらの試験は生活支援ロボット安全検証センターで全て実施可能です。

  試験項目リスト
試験項目 対応する要求事項
(ISO/DIS2 13482)
概要へのリンク
対人安全性 感電試験 5.3.1.1 (1)
騒音試験 5.7.1.1 (2)
表面温度試験 5.7.4.1 (3)
衝突安全性試験 5.10.8 (4)
接触安全性試験 5.9.2.1 (5)
耐性・耐久性 環境試験/複合環境試験 5.11.1 (6)
耐久性試験 5.11.1 (7)
耐荷重試験 5.11.1 (8)
耐衝撃試験 5.11.1 (9)
安定性 静的安定性試験 5.10.2.1 (10)
動的安定性試験 5.10.3.1 (11)
制御機能の信頼性 光干渉試験 6.5.2.1 (12)
EMC試験 5.8.1 (13)
障害物検知・対応試験 5.10.8.1 (14)

3. 個々の試験項目の概要
(1) 感電試験
 ロボットの導電部に接触したときの感電リスクから人が保護されていることを検証します。
 具体的には、テストフィンガーを用いて、ユーザが通常使用する時、および保守・点検をする時に接触する可能性がある部分の電圧を測定します。

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(2) 騒音試験
 ロボットが発する騒音に暴露されたときのリスクから人が保護されていることを検証します。
 具体的には、ロボットの周囲の人が受ける騒音を評価する「通過騒音測定」のほか、搭乗型や装着型のロボットについては、搭乗している人や装着している人が受ける騒音を評価する「暴露騒音測定」を行い、最大サウンドレベルを測定します。

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(3) 表面温度試験
 ロボット表面の高温・低温部分に接触することによるリスクから人が保護されていることを検証します。
 具体的には、ユーザが通常使用する時、および保守・点検をする時に接触する可能性がある外装表面、底面、工具や鍵等を用いずに開閉できるカバーやドアなどの表面温度を測定します。

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(4) 衝突安全性試験
 移動型、搭乗型ロボットが衝突したときのリスクから人が保護されていることを検証します。
 具体的には、ロボットを人体ダミーや障害物に衝突させて、衝突された人体ダミーや、搭乗者を模擬した人体ダミーの各部に加わる力、モーメント、変位、速度、加速度を測定します。
 測定したデータから算出される評価パラメータは、人の傷害可能性と関連付けられています。


衝突安全性試験の例


衝突試験装置(生活支援ロボット安全検証センター)

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(5) 接触安全性試験
 装着型ロボットの装着者が、皮膚に生じる創傷のリスクから保護されていることを検証します。
 具体的には、ロボットを人体特性模擬装置に装着して作動させて、人体特性模擬装置に生じる負荷を計測します。

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(6) 環境試験/複合環境振動試験
 ロボットが温度、湿度、振動環境に暴露された後に、人に危険な破損や機能喪失をしないことを検証します。
 具体的には、チャンバ内にロボットを入れて温度と湿度をサイクル的に変化させる温湿度サイクル試験と、振動を同時に加える複合環境振動試験があり、ロボットを所定の環境に暴露した後に、外観と機能の変化を記録します。


複合環境振動試験機(生活支援ロボット安全検証センター)

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(7) 耐久性試験
 移動型や搭乗型ロボットが走行移動しているとき、また、歩行を補助する装着型ロボットを使用しているとき、ロボットが人に危険な破損や機能喪失をしないことを検証します。
 具体的には、ドラム式やベルト式の試験機の上でロボットを所定の期間連続作動させた後に、外観と機能の変化を記録します。


ドラム式耐久性試験機(生活支援ロボット安全検証センター)


ベルト式耐久性試験機(生活支援ロボット安全検証センター)

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(8) 耐荷重試験
 移動型、搭乗型ロボットが、人の搭乗や積み荷の積載による荷重負荷によって、人に危険な破損や機能喪失をしないことを検証します。
 具体的には、ロボットの通常の使用状態で荷重がかかる可能性のある部分に、試験機やウェイトを用いて所定の荷重を負荷した後に、外観と機能の変化を記録します。


耐荷重試験機(生活支援ロボット安全検証センター)

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(9) 耐衝撃試験
 移動型、搭乗型ロボットが、障害物や人と衝突したときの衝撃力によって、人に危険な破損や機能喪失をしないことを検証します。
 具体的には、衝突安全性試験の後に、外観および機能の変化を記録します。

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(10) 静的安定性試験
 移動型、搭乗型ロボットが、静止状態で人に危険な転倒や積載物の落下を生じないことを検証します。
 具体的には、ロボットを傾斜台の上に設置してロボットの使用環境で想定される角度まで傾け、ロボットの姿勢や挙動を記録します。


静的安定性試験機(生活支援ロボット安全検証センター)

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(11) 動的安定性試験
 移動型、搭乗型ロボットが想定される環境を移動走行したときに、人にとって危険な転倒や走路逸脱、積載物の落下を生じないことを検証します。
 具体的には、ロボットの走行環境を模擬した試験路上でロボットを走行させて、走行中のロボットの挙動を観察するとともに、転倒や走路の逸脱、積載物の落下の有無を記録します。


傾斜路走行性試験装置(生活支援ロボット安全検証センター)

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(12) 光干渉試験
 ロボットが安全機能として光学式の非接触センシングデバイスを装備する場合に、そのデバイスの信頼性を検証します。
 具体的には、そのデバイスがロボットに装備されたときに遭遇する可能性のある光学的環境条件を模擬したときの、障害物検知機能の変化を記録します。


人工太陽装置(生活支援ロボット安全検証センター)

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(13) EMC試験
 ロボットの安全機能が、想定される電磁波環境下で危険な動作をしないことを検証します。
 具体的には、作動状態のロボットに電磁波や静電気等を照射したときの、安全機能の変化を記録します。


電波暗室(生活支援ロボット安全検証センター)

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(14) 障害物検知・対応試験
 ロボットが、障害物を検知したときに保護停止して衝突を回避する機能を有する場合に、保護停止機能が有効に作動することを検証します。
 具体的には、ロボットを使用環境で想定される障害物に近付けて保護停止したときの、ロボットと障害物の最短距離を測定します。

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