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生活支援ロボットと保険
1. 保険の意義と必要性
 製品の安全に関し、設計者には「リスクアセスメントに基づき適切なリスク軽減対策を行い、受容できないリスクを無くしておく責任がある」とするのが現在の標準的な考え方です(事前責任での対応)。しかし見逃された欠陥や、残留リスク、あるいは使用上の不注意等で予期せぬ事故が起こる可能性は排除できません。事故には、賠償や時には刑罰のような事後責任を負うリスクが伴います。保険は事故によって生じる事後責任のうち、賠償などの財務的リスクを保険会社に転移するものです。責任者側は経済的損失が補填され、被害者側は賠償を得やすくなるので、保険の存在は、製品の供給者と利用者だけでなく製品に接する可能性のある社会の一般の人々にも安心をもたらします。保険そのものは製品の安全性向上に直接つながりませんが、製品の安全性は保険の保険料率に影響するため、安全認証を受けた製品では料率が有利になることが期待されます。このため、保険には事後責任に答える役割の他に、安全に配慮した設計を促す (リスクコントロール促進) 効果があると考えらています。

製造者の責任

  • 事前責任
     Product Liability Prevention (PLP) PL事故防止対策、製造物責任予防として
     リスクアセスメントを行い、適切なリスク軽減対策をほどこす。
  • 事後責任
     Product Liability Defense (PLD) 事故発生後の対策、危機管理として
     賠償力の担保、経済的損失に備える手段として保険はその一つ

2. 保険の現状
 生活支援ロボット起因の事故による損害や賠償を保障する専用の保険はまだ存在しません。その理由としては以下のことが考えられます。
  • ① 市場に投入された製品が少なく、十分な保険の需要が見込めない。
  • ② 製品事例が少ないため事故の発生率が不明であり、料率の算定が難しい。
  • ③ 生活支援ロボットの安全性に関する規格が策定中であり、製品が規格を満たすことを保証する認証制度も存在しない。このため、保険会社が保険を引き受けにくい。[1]
  • ④ 生活支援ロボットは、機械自体が自律性を持ち、かつ不特定多数の第三者が存在する環境で使用される場合があり、事故発生のシナリオと事故発生時の関係者間の責任分担の判断基準に不明な部分が多い。
 しかし生活支援ロボットも製品の一つなので、保険会社が引き受ければ生産物賠償責任保険(PL保険)や動産総合保険などの既存の保険で事故賠償等のリスクに備えることが可能です。一方保険を利用する立場からは、生活支援ロボットに特有な種々のリスクを想定した専用保険があると便利です。また、事業者でない一般の個人ユーザに対しても自動車保険のような分かりやすい保険があれば、生活支援ロボットの利用促進につながることが期待されます。生活支援ロボットにかかわる保険のあり方については、ロボットビジネス推進協議会のワーキンググループでも検討されてます。
  • [1] ③については、2014年2月に生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482が発行され、同年11月にはCYBERDYNE社の装着型ロボットHAL作業支援用および介護支援用(腰タイプ)が(一財)日本品質保証機構(JQA)より同規格の認証を取得しました。
パーソナルモビリティの例
 パーソナルモビリティと称される移動装置は、搭乗型生活支援ロボットとも重なりますが、その利用形態から他の交通用具と同様の事故を起こす可能性が極めて高く、使用者自身の傷害や他者への損害賠償に備えて保険加入が強く求められます。セグウェイジャパン株式会社が販売しているセグウェイの場合、通常の自動車保険をベースとした保険商品を一部の保険会社が販売しており、保険加入がセグウェイ購入の条件となっています。
3. 既存の保険によるリスクへの対応
 生活支援ロボット(サービスロボット)の使用に付随する主な賠償や損害リスクとそれに備える既存の保険商品を以下の表にまとめました。これらの保険の適用対象となる事故は、労災保険を除き、突発的かつ偶然に発生したもに限定されます。表に示した以外にも、ロボットが個人情報を取り扱う場合には、個人情報漏洩(賠償責任)保険の必要性も指摘されています。より詳しい情報は参考資料をご覧下さい。

表 主要リスクと対応保険
対象となる責任/保障対象 保険の種類 契約者


ロボットの設計・製造上の責任、使用法の説明責任/
ロボットに起因した事故による物損、人身事故
生産物賠償責任保険
(PL保険)
メーカー、販売者
日常の保守・点検実施上の責任、稼働環境・運用方法に
係る責任/施設内でロボットが引き起こした事故
施設賠償保険 施設管理者、所有者
使用責任/使用者の誤操作、不注意による物損、
他人をケガさせたことに対する賠償
個人賠償保険 使用者 (個人)



施設内事故によるロボット本体の毀損 動産総合保険 事業者 (所有者)
ロボット利用中の事故による傷害 傷害保険 使用者 (個人)
就業時のロボット使用による傷害 労働者災害補償保険 事業者

(参考資料)
  • [1] ロボットビジネス推進協議会安全・規格検討部会ページ掲載の保険構築WGの指針・ガイドライン
  • [2] サービスロボットに係るリスクと保険(株式会社損害保険ジャパン 桂 浩晃)(Robopedia記事)